現在の住宅外観のトレンドはシック&シンプルモダン!洗練されたデザインが人気

この記事の監修者

佐伯 明彦 (株式会社ソラ SOLA)

所有資格外壁診断士

外壁施工において構造性能や耐火耐久性能など外壁塗装をお考えの方に対して アドバイスをおこなっております。


ファッションに流行があるように、住宅外観も時代によってトレンドがあります。では最近はどのような住宅外観が人気があるのでしょうか?

本記事では、現在の住宅外観のトレンドについて解説します。マイホームづくりや外壁リフォームをする上で参考になるかと思いますので、住宅の外観デザインに悩んでおられる方はぜひお読みください。

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住宅外観のトレンドは時代によって変わる

ファッションのトレンドが時代によって変わるように、住宅外観のトレンドもまた時代によって変わっていきます。

たとえば、1980年代はアメリカの西部開拓時代の住宅を基にした「アーリーアメリカンスタイル」、1990年代は英国風の住宅をイメージした「ブリティッシュスタイル」、2000年初頭は地中海周辺の住宅を基にした白やベージュの壁が特徴の「南欧スタイル」などがトレンドでした。ヨーロッパスタイルでは南欧だけでなく「北欧スタイル」も人気です。

日本には和風住宅という独自の住宅文化がありますが、1910年(明治43年)に日本で初めて輸入住宅が建てられてから、日本では洋風住宅の文化が広がっていきました。

現在は建築技術が発達し、さまざまなスタイルの外観を取り入れることが可能となっています。

現在の住宅外観のトレンド

シックなデザインが流行

現在の住宅外観は、シックなデザインが好まれる傾向にあります。「シック(chic)」は英語ではなくフランス語で、 「上品で洗練されている」という意味です。

現在の住宅外観は派手さを抑え、上品で落ち着いている雰囲気を取り入れたデザインが多くみられます。色合いでいえば白や黒、グレーといった無彩色が多く、有彩色を使う場合も彩度が抑えられているのが現在の住宅外観の特徴です。

ファッションでも「シック」は大人向けのスタイルとして人気で、インテリアにも上品さが求められる傾向があります。インテリアスタイルで特に女性の間で人気があるのは「シャビーシック」です。

「シャビー(shabby)」は「使い古された」という意味で、シャビーシックは上品さにアンティークの要素を取り入れたスタイルとなっています。内観にもシックさを取り入れるのが現在の住宅デザインのスタイルのひとつです。

シンプルモダンスタイルが人気

最近は戸建住宅でも賃貸住宅でもデザイン性の高い「デザイナーズ住宅」の人気が上昇しています。ひとくちにデザイナーズ住宅といってもスタイルはいろいろありますが、その中でも「シンプルモダンスタイル」が人気です。

「シンプルモダンスタイル」は色合いや素材感を統一してすっきりと見せるのが特徴で、色は白と黒のツートーンカラーやベージュやブラウンなどがよく使われます。有彩色を取り入れる場合は木の質感を活かすなど、ナチュラルに仕上げることが多いです。

もともと「モダン(modern)」は「現代的な」「近代的な」という意味の言葉で、ファッションでもよく使われます。モダンの定義は時代によって変わりますが、「シンプルモダン」はガラスや金属といった無機質的な素材を使い、デザインはシンプルに仕上げながら機能的であるスタイルです。

一見すると飾り気はないものの、シックなデザインのように洗練された印象を与えます。シンプルで洗練されたデザインは、これから20年30年経ってデザインの流行が変わっても古臭さを感じさせないことでしょう。

和室人気の再燃で和モダンの住宅が増加

現在の日本の住宅は洋風住宅が主流ですが、最近は和室の良さが見直されて人気が再燃しています。そうした傾向の中で、洋風住宅をベースにしつつ和のテイストを取り入れた「和モダン」の住宅が増加中です。

たとえば屋根材には瓦を、外壁には珪藻土や漆喰を、内装に畳や障子、襖などを取り入れることで「和モダン」の住宅に仕上げることができます。現在の日本の住宅には欧米由来の建築材は欠かせないので、日本独自の伝統的な和の要素と欧米のモダンな要素を組み合わせることにより、現代的なスタイルに仕上げるのが「和モダン」です。

畳と言えば長方形が一般的ですが、最近は琉球畳のような半畳を取り入れる住宅が増えています。琉球畳は正方形で縁がないのが特徴です。

縁のない琉球畳は「和モダン」に取り入れやすい畳で、2色を組み合わせることで市松模様にすることもできます。一室全部を和室にせず、リビングの一角に琉球畳を敷いて和を演出するなど、デザインの自由度が高いのも琉球畳の魅力です。

畳には断熱機能や調湿機能があるため、梅雨の高温多湿な時期は湿気を吸収して湿度を抑える働きがあります。また畳に使われているイ草は空気が含まれているため遮音性が高く、衝撃音を抑える働きもあるため、足音が響きにくいのも畳のメリットです。

屋根形状は切妻屋根が人気

切妻屋根(きりつまやね)は「へ」の字のような形状の屋根です。住宅の絵を書く時はこの切妻屋根を描く方がほとんどではないでしょうか。

切妻屋根は和風にも洋風にも合うため、住宅デザインがしやすいというのが人気の理由のひとつです。切妻屋根はソーラーパネル(太陽光発電)の設置がしやすい点、建築コストを抑えやすい点もメリットに挙げられます。

片流れの人気も高まっていますが、切妻屋根は工期も比較的短めになるため、特にその他の理由がなければ切妻屋根にするのが無難と言えるでしょう。

ただ、切妻屋根は多くの住宅に取り入れられているため、住宅デザインで個性を出したい方には向いていないかもしれません。切妻屋根は機能面やコスト面で優れているため無理して切妻屋根を選択肢から除外するのではなく、個性を演出するなら屋根以外のデザインを練ったほうが失敗は少ないと言えます。

外壁材はサイディングが主流

サイディングは板状の外壁材で、「下見板」や「羽目板」とも呼ばれます。以前はモルタルを使う住宅が多かったのですが、低コストかつ短時間で施工ができるサイディングが広く使われるようになりました。

サイディングは素材の種類から「窯業系」と「金属系」に分けられます。「窯業系」と「金属系」では機能だけでなく見た目も異なるため、デザイン面も考慮して選んでください。

「窯業系」のサイディングはセメント質と繊維質の原料で作られていて、耐久性・耐火性・耐震性・遮音性に優れています。デザインバリエーションが豊富であるため、さまざまな住宅スタイルに合わせられるのも窯業系サイディングのメリットです。

デザインはタイル、レンガ、木目、ライン、ベース柄、石柄などがあり、それぞれの色柄のバリエーションも豊富なので選択肢が幅広くあります。現在人気のシンプルモダンスタイルに仕上げるなら、ベース柄や木目、ラインといったシンプルなデザインの柄が合うでしょう。

「金属系」のサイディングは、アルミやスチールといった金属板と断熱材で構成されます。断熱性が高く、軽量であるため耐震性にも優れているのが金属系サイディングの特徴です。

金属系サイディングの無機質な質感はシンプルモダンスタイルの住宅にマッチします。直線的なデザインもまたモダンとの相性が良く、窯業系とは違った金属素材の持つ美しさは非常に魅力的です。

プリント技術の発達によって金属系サイディングのデザインバリエーションが増えているため、木目調や石積み調、レンガ調といったデザインも選択できます。

「窯業系」のシェアは住宅外壁の約70%を占めているとされているため、まず選択肢として考えておきたいところです。上述したようにデザインバリエーションが豊富であるため、住宅外壁を好みのスタイルにデザインしやすいでしょう。

「窯業系」と「金属系」ではそれぞれ機能とデザインが異なりますので、ベースとなる外観スタイルを決めた上でお選びいただければと思います。

シンプルな外観はアクセントの使い方が重要

シックスタイルもシンプルモダンスタイルもデザイン的な派手さはありませんが、アクセントを取り入れることで目を引くデザインになります。

たとえば、白を基調とした外観の住宅に木目柄を取り入れたとしましょう。ワントーンでもいいのですが、玄関ドアなどに木目柄を採用することでメリハリが生まれます。

シックやシンプルモダンなスタイルでは素材の無機質感を使うことが多いですが、それだけだと少し冷たい印象になりがちです。アクセントに木目柄やストーン柄、レンガ柄などを取り入れることにより、洗練されたデザインに温かさを演出できます。

シンプルなデザインにアクセントを取り入れる場合、バランスをよく考えないとシックさやモダンさが台無しになってしまうので、デザイナーズ住宅が得意な設計事務所に任せたほうがよいでしょう。

設計事務所によってデザインの得意不得意が異なるので、施工事例を参考に比較されるのがよいかと思います。マイホームづくりやリフォームをする上でどれだけ親身に対応してくれるかも大事ですので、その点も比較ポイントとして頭に入れておいてください。

おわりに

住宅のスタイルは多様化していて、ひとくちにシンプルモダンといってもデザイン性はさまざまです。シンプルモダンにナチュラルさを取り入れたり、和モダンのように和の要素を取り入れたりすることもできます。

10年20年すれば住宅の流行スタイルも変わっていると思いますが、シンプルなデザインであればリフォームで対応しやすいですし、デザイン自体が洗練されているのであれば時代が変わっても印象は大きく変わらないでしょう。

これから注文住宅を建てられる方や外観をリフォームされる方は、いろいろな施工事例を参考に長く飽きの来ないデザインを考えてみてくださいね。

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