現在の住宅の外壁材には、サイディングボードがよく使われています。どれほど耐久性に優れていてもメンテナンスフリーの外壁材はありませんので、サイディングボードも定期的に補修しなければなりません。
そこで本記事では、サイディングボードを外壁材に使うメリットと、ひび割れや破断等のメンテナンス方法をまとめました。サイディングボードを外壁に使っている住宅にお住まいの方は、住宅を長持ちさせるために、どのようなメンテンナンスが必要であるのかをぜひ知っていただければと思います。
目次
サイディングボードとは?
「サイディング(Siding)」は、「下見板」や「羽目板」という意味を持つ言葉です。「側線」という意味もありますが、建築用語としては「下見板」や「羽目板」、もっと分かりやすく言えば「外壁に貼る板」という意味で解釈していただければと思います。
では「下見板」や「羽目板」とは一体何か?ということですが、「下見板(したみいた)」は「外壁の下見(板を横に貼り重ねる)に張る板」のことです。
一方、「羽目板(はめいた)」は、縦張りをした板を指します。下見板と同義で使われることもありますが、いずれも外壁に重ね張りする板です。
サイディングボードは板状の外壁材で、塗って施工するモルタルと異なり、貼って施工します。
サイディングボードを外壁材に使うメリット
戦後、日本住宅では防火のために砂・セメント・水を混ぜ合わせて作る「モルタル」を使うのが主流でした。モルタルは耐火性に優れていますが、施工時間がかかる、施工費がかかる、ひび割れしやすいといった点がデメリットです。
最近では、モルタルに代わり、安価で施工できるサイディングボードが主流になっています。サイディングボードを外壁材に使うメリットは、主に以下の3つです。
・施工時間が短い
・施工費が安い
・デザインの自由度が高い
ご覧いただいて分かるように、サイディングボードはモルタルのデメリットである施工時間と施工費を解決しています。コストが安く、デザインの自由度も高いため、現在の日本住宅の外壁材はサイディングボードが主流です。
耐火性に関しては木質系サイディング、樹脂系サイディング、金属系サイディング、窯業系サイディングなど、材質によって異なります。
サイディングボードの劣化症状
サイディングボードの劣化症状は、ひび割れ、破断、剥離、カビなどです。ひび割れや破断が起こった部分を放置しておくと、そこから雨やカビ等が染み込み、さらに住宅を傷めてしまいかねません。
サイディング外壁では、ボードとボードの継ぎ目であるコーキング(シーリング)という部分が外壁を保護する大事な役割を果たしています。コーキングは、サイディングボードのひび割れ(クラック)を防止し、長持ちさせるのが役割です。
コーキングが劣化するとサイディングボード自体の耐久性が低下し、ひび割れなどの症状が起こりやすくなります。コーキングにひび割れ、破断、肉やせなどの劣化症状が発生したら、放置せずに早めに補修した方がよいでしょう。
劣化が進行すると、サイディングボード自体が反り返ったり、割れてしまったりすることもあります。症状が悪化するほど修繕費が高くついてしまうため、コーキングと同様に劣化がみられたら早期に修繕しておきましょう。
また、カビが生えたり色あせたりすると、住宅の美観を損ねてしまうため、見た目の劣化も修繕することをおすすめします。
サイディングボードのメンテナンス方法
ひび割れのメンテナンス
ひび割れはクラックとも呼びます。サイディングボードにひび割れが発生した場合、部分的に補修できればいいのですが、ひび割れがひどい場合は張り替えが必要になるかもしれません。
ひび割れもサイディングボードの部分なのか、コーキングの部分なのかによって修繕費用が異なります。コーキング部分のみの修繕であれば、それほど費用はかかりません。
上述したように、コーキングはサイディングボードを保護する大事な役割を持っているので、外壁を長持ちさせるにはコーキングのメンテナンスが必要です。
コーキングの補修方法は、「打ち替え」と「打ち増し」の2つがあります。
「打ち替え」は、既存のコーキングを取り払い、新しくコーキングを注入する方法です。撤去と注入の手間がかかり、費用も高くなりますが、コーキングの効果が復活します。
「打ち増し」は、既存のコーキングの上から補充する方法です。「打ち替え」と比べると費用が安く、工期も短くて済みますが、施工の仕方や既存のコーキングと新しいコーキングの相性によっては、すぐに剥がれてしまう恐れがあります。
コーキングのひび割れ程度ならDIYでできなくもないですが、専門知識が必要ですし、高所の補修には足場が必要となるため、確実性と安全性を考えると専門業者に任せた方が安心です。
サイディングボード自体にひび割れが発生している場合、DIYでは難しいため、専門業者に任せましょう。
破断のメンテンス
破断は、コーキングの真ん中が切れた状態です。ひび割れが大きくなることが起こる症状で、放置しておくとさらに深刻化してしまいます。
破断するとコーキングの間から雨水が染み込み、外壁から漏水してしまうかもしれません。コーキングの補修だけなら修繕費用は安く抑えられますが、外壁の内部にまで漏水すると費用が高くなってしまいます。
ひび割れ程度ならまだ猶予はありますが、破断は漏水につながるため、早急に補修してください。DIYでの補修は難しいため、業者に依頼するのが確実です。
肉やせの補修
肉やせは、経年によってコーキングがやせ細ってくる症状です。言わば目地に隙間が空いた状態で、破断と同様に漏水する可能性があるため、早急に補修する必要があります。
サイディングボードのコーキングは常に風雨や紫外線にさらされているため、どうしても劣化が進みやすいです。コーキング材の寿命はおよそ10年と言われていますが、環境によってはそれより短くなる場合もあります。
コーキングの劣化が進んで肉やせが起こると、内部まで雨水が染み込んでサイディングボードまで劣化させてしまいかねません。サイディングボードの交換となると、コーキングの補修よりも費用が高くなってしまうため、肉やせが起こる前に補修しておくことをおすすめします。
DIYでコーキングを塗り直すと、プロの業者と比べて施工が甘くなってしまうため、通常よりも寿命が短くなるかもしれません。DIYなら補修費用を節約できますが、寿命が短くなると補修のサイクルが早くなり、漏水する可能性も高くなってしまうため、腕のいい業者に任せて長持ちした方が安心です。
反りのメンテナンス
サイディングボードは、温度や湿度の影響で反り返ってしまうことがあります。サイディングボードを止めている釘が外れているだけならば打ち直しで矯正できる場合もありますが、ひどい反りを無理に打ち直すと割れてしまう恐れがあるため、DIYで修繕する場合は注意してください。
反りがひどい場合は打ち直しでは修繕できないため、張替えが必要となります。全体を張り替えるなら修繕費用は高額になりますが、部分的に張り替えるだけならそれほど高額にはなりません。
サイディングボードの張り替えには専門知識が必要となるため、反りが起こったらDIYで修繕するのは難しいでしょう。
温度変化や釘の抜けで反ることもありますが、コーキングの劣化で反りが起こることもあります。反りを起こさないようにするために、定期的にコーキングをメンテナンスしておいた方がよいでしょう。
サイディングボードの補修は屋根塗装と同時の方が安くなる?
外壁の補修を行う際、場所によっては足場が必要となります。足場の費用は業者によって異なりますが、だいたい15〜20万円ほどかかるため、足場が必要かどうかは非常に重要です。
サイディングボードやコーキングの補修で足場を組むのであれば、屋根塗装を同時に行った方が足場代を節約できます。外壁補修と屋根塗装を別々に頼んでそれぞれ足場代を払うより、同時に依頼すると1回で済ませようという節約方法です。
ただ、外壁補修と屋根塗装を同時に行うと、一度の出費が大きくなってしまいますし、補修のタイミングが合わない場合もあります。足場代の節約のために同時に補修してもらうより、サイディングボードやコーキングの劣化がみられたら屋根塗装も確認してもらい、そちらも劣化がみられるようなら一緒に補修してもらう、というぐらいの考えでよいかもしれませんね。
コーキングの補修だけならそれほど費用は高くならないため、破断や肉やせが起こる前に定期メンテナンスをしておけば、結果的に費用を抑えられるでしょう。
DIYでのサイディングボード・コーキングの補修に伴うリスク
上述したように、サイディングボードの張り替えやコーキングの補修には専門知識が必要となるため、DIYでは難しいというのが正直なところです。コーキングの施工が甘いとすぐに効果が落ちてしてしまい、漏水してサイディングボードを傷めることになると、余計に費用が高くついてしまいます。
外壁の高所を補修するには足場を組む必要がありますが、ハシゴに昇って作業をすると落下してしまう恐れがあるため、安全面からもDIYでの補修はおすすめしません。外壁を安全に補修するには足場が必要ですので、無理にDIYはせずに業者に任せた方がよいでしょう。
おわりに
外壁は住宅を風雨から守る大事な部位です。サイディングボードやコーキングは風雨や紫外線によって劣化していくため、住宅を長持ちさせるには定期メンテナンスが必要となります。
サイディングボード内部まで漏水すると補修費用が高くなってしまうため、劣化する前に補修しておきましょう。
参考
→ 日本窯業外装材協会
→ 日本金属サイディング工業会
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