シロアリは、家の木材を食べる恐ろしい害虫で、最悪の場合、家を全壊させてしまうこともあります。
その存在を目の当たりにしたことがない方は、「私には関係のないこと」「今までに発生したことがないし、大丈夫だろう」と思ってしまうことでしょう。
しかし、シロアリは、季節に関係なくいつでも発生するおそれがあり、いつ自分の家が被害に遭うかわかりません。
冬眠をせず、サナギの期間もないので、活動しない時期がありません。
ただし、シロアリとひとくちにいっても、いくつか種類があり、種類によって見かける時期や活発な時期が異なります。
今回は、そんなシロアリの種類ごとの発生・活動時期の特徴や発生時の対処法などを紹介していきます。
自分には関係のないこととは思わず、この記事を最後まで読んで、いざというときに迅速に対応できるようにしてくださいね。
シロアリの活動時期は?
シロアリの活動時期を把握するうえで重要なことは、産卵時期が定まっていないということです。
シロアリの女王アリは、卵を常に産み続けているといっても過言ではありません。
そのため、シロアリは年中、数を増やし続けています。
羽アリの発生時期は種類によって異なる
シロアリの活動時期は、1年中なのですが、羽アリとなって巣の外に飛び出す群飛(ぐんぴ)の時期はシロアリの種類によってある程度決まっています。
日本で被害をもたらしているのは、「イエシロアリ」「ヤマトシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の3種類です。
ここからは、各シロアリの種類の特徴や群飛の時期を紹介していきます。
イエシロアリ
イエシロアリは、群れの規模がとても大きく地中に大きな巣を作り、生活するのが特徴です。主に西日本に分布し、東日本ではあまり見かけません。6月から7月の夕方から夜にかけて群飛します。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは全国に広く分布する種類です。イエシロアリに比べ群れの規模は小さく、水回りに生息します。4月から5月の午前から日中にかけて群飛します。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリは、外来種のシロアリです。海外の木製家具などに潜んで日本にやってきました。
食害した木材をそのまま巣にして生活し、関東を中心に生息地が広がっています。6月から9月の日中から夕方にかけて群飛します。
群飛は、シロアリの数が増えすぎて巣の許容範囲を超えたときに発生します。
つまり、飛び回る羽アリを発見したら、その近くにすでに巣が作られている可能性が高いです。
さらに、群飛によって飛び立った羽アリはつがいを見つけて、新しく巣をつくりまた産卵をはじめます。
そのため、シロアリ発生を放置しておくと、周辺にも被害が拡大していくため、発見したらすぐに駆除すべきです。
シロアリの冬の活動
シロアリは冬眠しないと先述しましたが、基本的に寒さには弱いです。
気温が6℃以下では、活動しないとされています。
だからといって、冬は大丈夫だと安心はできません。
なぜなら、最近の住宅の多くは、断熱構造や暖房器具が備わっており、暖かい環境を維持することができるからです。
その結果、シロアリは住宅の床下などでは活動的になってしまうのです。
冬場に地上に出てくることは少ないですが、女王アリは産卵を続け、働きアリは木材を食害することもあるので、油断はできません。
シロアリの発生原因とは
シロアリは、暖かい場所を好むのですが、それ以外にも家に発生しやすくなる条件があります。
湿気
先述したシロアリの中で多くの被害をもたらしているのは、イエシロアリとヤマトシロアリです。
どちらも土壌シロアリという種類で、地中に巣をつくり湿気のある場所を好みます。
そのため、水回りや水を使って掃除をする場所、濡れた靴で出入りする可能性が高い玄関などは、注意して換気をするようにしましょう。
また、和室が家にある場合、畳が湿気をためる可能性があるので、定期的に和室を換気したり、畳をメンテナンスしたりしましょう。
窓を開けっぱなしにする
網戸がない状態で窓を開けっぱなしにしておくと、羽アリが入り込んでしまう可能性があります。
春から秋口にかけては、群飛をする可能性が高い時期なので、窓を開けるときは網戸を閉めるように心がけましょう。
庭に段ボールなど不要なものがある
庭に不要なものを放置しておくのもシロアリ発生の原因になります。
庭は、雨風を受ける場所なので、濡れた状態のままのものを放置してしまうことになります。
木製のものや段ボールなどは、湿気がたまりシロアリの好むエサになってしまうので、注意が必要です。
さらに、濡れたものが置かれている場所は、晴れても地面が乾きにくく、シロアリの好む環境になってしまうため、巣を作られる可能性が高くなります。
そのため、不要なものはすぐに処分するようにしましょう。
シロアリが発生したときの対処法
シロアリの発生原因を取り除いていけば、被害に遭うリスクを減らすことができます。
しかし、どれだけ原因を取り除いても発生リスクをゼロにすることはできません
では、シロアリが発生してしまったら、どうすればいいのか?
ここから見ていきましょう。
羽アリを発見したときの駆除方法
シロアリは、先述したように基本的には地中で活動しています。
そのため、地上で発見するのは群飛のときの羽アリである可能性が高いです。
その羽アリの駆除方法が主に3つありますので、自分でもできる方法を選んで対処するようにしてくださいね。
掃除機で吸う
掃除機で吸っても大丈夫?と不安に感じるかもしれませんが、掃除機の吸引力で羽アリが死滅します。
そのため、手っ取り早く駆除したい方は、掃除機ですべて吸い込んでしまいましょう。
サイクロン式の掃除を使っている方は、ゴミがたまるところに死骸がこびりついて不快に感じるかもしれないため注意してください。
粘着テープにくっつける
深夜に発見してすぐに駆除したいのに掃除機の音が気になるという場合、粘着テープにくっつけて処分する方法があります。
柄の長いものを使用すればシロアリに近づく必要ものないので、虫が苦手な方でも安心して駆除することができます。
袋で捕獲する
シロアリが発生している箇所が判明していれば、そこに袋を被せて捕獲する方法があります。
袋に捕獲できると、後から業者に依頼する際に種類を判別できるので、ひとつの方法として覚えておいてください。
スプレータイプの殺虫剤は注意
害虫駆除のスプレータイプの殺虫剤がありますが、シロアリ駆除には、あまりおすすめできません。
なぜなら、薬剤がかからなかったシロアリが逃げたり、噴射の勢いで被害がでていない場所まで飛ばしてしまうおそれがあるからです。
駆除するための行動が被害を拡大させてしまう場合もあるので、スプレータイプの殺虫剤は避けましょう。
プロのシロアリ駆除方法
上記で紹介した駆除方法は、あくまで自分でできる駆除方法です。
そのため、完璧に駆除できるかといえば、正直、不安が残ります。
やはり、徹底的に駆除をするのならプロに依頼をすべきです。
では、プロはどのような方法で駆除をするのでしょうか?
2種類ありますので、それぞれの特徴を紹介していきます。
ベイト工法
ベイト工法とは、建物周辺のシロアリが生息する場所や通り道に、毒入りのエサを設置して駆除する工法です。
毒エサを巣まで持ち帰らせることができると、巣にいる仲間も一斉に駆除することができます。
ベイト工法の施工時間は、2~3時間と短く、効果がでるまでには、約1~3ヶ月です。
バリア工法
バリア工法は、シロアリの侵入経路となりやすい床下の土壌や建築材に、液状の薬剤を吹きかける工法です。
シロアリが苦手な成分が含まれている薬剤を侵入経路や巣に直接吹きかけることで、駆除できるだけでなく予防の効果も期待できます。
施工時間は、5~6時間とやや長いです。
床下での作業になるため、作業がスムーズにできないこともあり、長くなると丸1日かかることもあります。
使用する薬剤によって効果が出るまでの時間は異なります。
即効性のある薬剤から、ゆっくりと効いて巣ごと全滅させるものまで、さまざまです。
ちなみに、ほとんどのバリア工法で使用される薬剤は、効果が約5年続くとされています。
シロアリ駆除はいつでもできる
ここまでで大方の駆除方法は理解できたと思います。
次は、駆除に適したタイミングなのですが、じつは、シロアリ駆除に適した時期はありません。
シロアリは年中活動しているので、被害が発生しているのなら、できるだけ早く駆除をしましょう。
しいて言うなら、ベイト工法のようにシロアリの活動を利用して駆除する方法は、シロアリが活発な4~9月におこなう方が効果的です。
予防を考えているのなら、暖かくなってシロアリ被害が増える3~4月がおすすめです。
シロアリ対策は業者に頼みましょう
この記事でも駆除方法を説明したので、自分で駆除できると考える方もいると思います。
しかし、隅々まで徹底的に駆除したいのなら、業者に依頼することをおすすめします。
薬剤の選択など、やはり経験がないと難しいことも多く、時間もかかってしまいます。
費用がかかってしまうかもしれませんが、駆除の効果を考えると依頼するようにしましょう。
シロアリ駆除の費用
シロアリ駆除を依頼する際に、気になるのが費用ですよね。
業者によって参考としている単位が変わってくるのですが、一般的に1㎡あたり約3,000円、1坪あたりは約10,000円とされています。
もちろん用いる工法や使用する薬剤によって違ってくるので、あくまで目安として把握しておきましょう。
まとめ
1年中、どこかで活動を続けているシロアリ。
暖かく湿気のたまった場所が好みなので、そういう条件が揃う場所をつくらないように注意しましょう。
どんなに注意しても発生するときはしてしまうものなので、早急に対応するようにしましょう。
放置し続けると最悪の場合、家が倒壊してしまうおそれもあります。
羽アリを発見したら、その場は自分でできる処理をしてもよいですが、徹底的に駆除をするためには業者に相談することをおすすめします。
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