アパートの外壁塗装の塗り替えが必要な3つの理由、塗り替えサイクルと費用の目安

この記事の監修者

佐伯 明彦 (株式会社ソラ SOLA)

所有資格外壁診断士

外壁施工において構造性能や耐火耐久性能など外壁塗装をお考えの方に対して アドバイスをおこなっております。


アパートの外壁塗装は定期的なメンテナンスが必要な部位です。残念ながら、半永久的に効果が持続する塗装はまだ開発されていないので、耐用年数や劣化状況に合わせてメンテナンスをしなければなりません。

本記事では、アパートの外壁塗装の塗り替えが必要な3つの理由に加え、塗り替えのサイクルや費用の目安についても解説します。アパートの資産価値を維持するためにも、定期的に外壁をメンテナンスしておきましょう。

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アパートの外壁塗装のメンテナンスをすべき理由

アパートの外壁塗装は、風雨や紫外線の影響で劣化していきます。塗装の機能が生きている間は外壁が守られていますが、経年劣化で塗膜が剥がれると、次は外壁が劣化してしまいます。

アパートの外壁塗装のメンテナンスをすべき具体的な理由は、以下の3つです。

・資産価値が下がる可能性がある
・アパートの耐久性低下を招く
・入居率が下がる恐れがある

それぞれの理由を詳しく解説します。

資産価値が下がる可能性がある

外壁塗装は資産価値に直接は関係しないと考えている方は、案外と多いのではないでしょうか。実は、それは大きな間違いです。

上述したように、外壁塗装の機能が低下すると、今度は外壁が傷み始めます。劣化の初期に現れるチョーキング現象(塗膜が劣化して粉状になる)の段階ならまだしも、ひび割れが起きていると、外壁の中まで雨水が浸水する恐れがあります。

外壁の内部にまで雨漏りが進行しているなら、かなり劣化が進んでいると考えたほうがいいでしょう。雨漏りによってアパートが劣化すると、資産価値が下がってしまうのは当然です。見た目の問題だけでなく、耐久性の低下が資産価値の低下を招いてしまいます。

そのような劣化が進んだ状態で査定に出しても、おそらく査定額が大きく下がってしまうでしょう。外壁に雨漏りが起きていると修繕費用が高くつくので、査定額が下がるのは仕方ありません。

売却をするのであれば、修繕をしてからがよいのか、修繕しないままのほうがよいのか、判断が難しいところですが、すぐに売却しないのであれば早めに修繕をしたほうがよいでしょう。雨漏りは放置していくほど住宅の内部に侵食し、どんどん修繕費が高くなっていきます。

資産価値を下げないためにも、アパートの外壁塗装の定期メンテナンスをしておきましょう。

アパートの耐久性低下を招く

建物の安全面を考えても、外壁からの雨漏りを放置するのはよくありません。外壁が劣化して脆くなっているときに地震が起こると、揺れに耐えられずアパートが破損したり崩れたりする危険性があります。

外壁塗装の剥がれは単なる塗装の劣化にとどまらず、アパートの耐久性低下を招きかねません。外壁塗装が外壁をしっかり守っているならば、雨漏りが起きず、アパートの耐久性を維持できます。

アパートの耐久性が低下すると、資産価値が低下するのは当然であるとお話しました。それだけでなく、耐久性が著しく低下すると、入居者の安全も脅かされます。アパートの管理者は、入居者の安全を守る責務があるので、メンテナンスを怠ってはいけません。

たかが外壁塗装の劣化と考えず、アパートの安全性低下にまで被害がおよぶと考えておきましょう。

入居率が下がる恐れがある

外壁塗装が劣化し、アパートの外観が悪くなると、入居率が下がる恐れがあります。同じ築年数、同じ条件であれば、外壁のメンテナンスがされていないアパートよりも、綺麗に塗装されているアパートを選ぶ人が大半でしょう。

入居率は家賃との兼ね合いもありますが、できるだけ綺麗なアパートに住みたいと思うのは当然の心理です。家賃が安くても、極端に外観がみすぼらしいと入居をためらってしまいます。

反対に、築年数が古くても外壁まできちんとメンテナンスをしていれば、入居率が上がるかもしれません。築年数は変えられませんが、外壁を綺麗にメンテナンスして外観を良くすることはできます。資料や内見で最初に見るのはアパートの外観なので、第一印象はとても大事です。

外壁塗装のメンテナンスには費用がかかりますが、入居率が上がれば費用の回収が早くなります。費用をケチって外壁の見た目が悪い状態で入居者が決まるのを待つか、外壁を綺麗にして内見者にアピールするか。ここまで書けば、どちらが入居率アップに効果的なのか、もうおわかりですよね。

アパートの外壁塗装の劣化症状

アパートの外壁は段階的に劣化していきます。まず起こるのは、外壁塗装のチョーキングや色褪せといった現象です。

チョーキングは先に説明しましたが、外壁塗膜が劣化して粉状になることで起こります。外壁を手で触ったときに、白っぽい粉が付いたらチョーキングが起こっている可能性が高いです。これは外壁塗膜が劣化して保護機能を失っている状態なので、塗り替えを検討する必要があります。

色褪せは、紫外線の照射によって起こる症状です。外壁の色褪せも劣化のサインなので、早めに塗り替えをしたほうがいいでしょう。

外壁に発生するカビや藻、苔も塗装の劣化のサインです。塗装はカビや藻からも外壁守っていますが、機能を失うと防ぎきれなくなります。

外壁にカビや藻が生えていると、アパートの見た目が悪くなり、入居率が下がる恐れもあります。売却時には評価が下がる要因になりかねません。いちど根付いたカビはしつこいですし、放っておくと増殖して範囲が広がるので、早めにメンテナンスをしておきましょう。

次に起こるのは、外壁のひび割れです。ひび割れを放っておくと亀裂が広がっていき、しまいには外壁に浸水してアパートの耐久性が低下してしまいます。そうなったら、高い修繕費用が必要となりますし、資産価値も下がってしまうので、ひび割れは放置厳禁です。

ひび割れが起こる前にメンテナンスをするのが理想ですが、起こってしまったものは仕方ないので、修繕費用を最小限に抑えるために、早めに修繕しておきましょう。もちろん、外壁塗装の塗り替えも一緒に。

アパートの外壁塗装の塗り替えのサイクル

外壁塗装の塗り替えのサイクルは、使用している塗装や環境によります。塗料の種類ごとの耐用年数の目安は以下です。

・アクリル系塗料:4〜7年
・ウレタン系塗料:6〜10年
・シリコン系塗料:10~13年
・ラジカル系塗料:10~13年
・フッ素系塗料:15~20年

アクリル系塗料は安価ですが、耐用年数が4〜7年とかなり短いです。ウレタン系塗料はコストパフォーマンスが高いですが、長くても10年なので、5年ごとに点検をしておいたほうがいいでしょう。

シリコン系塗料とラジカル系塗料は耐久性に優れていて、10~13年くらい持ちます。コストパフォーマンスも高く、最近の外壁塗装の主流になっています。

フッ素系塗料の耐用年数は、15~20年と非常に長いです。そのぶんコストが高いですが、塗り替えのサイクルが長くなり、手間も少なくなると考えれば、コストパフォーマンスは決して悪くありません。

この中で選ぶのであれば、人気のシリコン系塗料とラジカル系塗料を選ぶのが無難です。これらの塗料を採用するのであれば、10年を目安にメンテナンスをしましょう。

環境によっては劣化が早く進行していることもあるので、耐用年数の最長を目安にするのではなく、最小を目安に点検・メンテナンスすることをおすすめします。

アパートの外壁塗装の塗り替え費用の目安

アパートの外壁塗装の塗り替え費用は、面積や使用する塗料によって差がありますが、一般的な2階建てアパート(500平方メートル)であれば、150~300万円が目安です。

外壁塗装はただ塗り替えればいいというわけではなく、高圧洗浄や下地処理が必要となります。外壁塗料を定着させるには、しっかりと下地処理しなければなりません。下地処理の手を抜くと施工してもすぐに外壁塗料が剥がれてしまうので、ここは省略できないステップです。

外壁塗装の塗り替えには足場が必要なので、別途、足場の組み立て費用がかかります。足場代は700円~1,000円 / 平方メートルが目安です。

アクリル系などの安い塗料を使えば費用を抑えられますが、耐用年数が低いと塗り替えのサイクルが早くなりますし、機能も上位の塗料と比べると劣ります。外壁を保護しきれずに劣化が進み、修繕費用がかかると、結局、節約できたのかわからなくなります。

それなら、耐久性に優れたシリコン系塗料とラジカル系塗料を使ったほうが、将来的なコストを抑えられます。使用する外壁塗料を決める際は、そのときのコストだけでなく、耐用年数との兼ね合いも考慮して選びましょう。

外壁塗装の塗り替えは必要なコスト

アパートを長く経営するのであれば、外壁塗装の塗り替えは避けられません。フッ素系塗料であれば、耐用年数が15~20年なので塗り替えのサイクルが長いですが、費用が多くかかります。

どの塗料を選ぶにしても、外壁塗装の塗り替えは必要なコストと考えておきましょう。災害で急な修繕が必要になるのと違って、外壁塗装の塗り替えは予定をしておけます。予算に組み入れておけば、塗り替えが必要になっても資金繰りに悩まずに済むでしょう。

外壁塗装の塗り替えは入居率にも影響しますし、美観と耐久性を維持するためにも、定期的なメンテナンスをおすすめします。

おわりに

外壁塗装は、建物の一番外側でアパートを守ってくれている存在です。アパートの美観と耐久性を保つために、定期的に点検をし、劣化が顕著に現れてきたら早めに塗り替えをしましょう。

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