外壁の錆止め塗装の基礎知識、住宅の錆を防ぐ方法を解説

この記事の監修者

佐伯 明彦 (株式会社ソラ SOLA)

所有資格外壁診断士

外壁施工において構造性能や耐火耐久性能など外壁塗装をお考えの方に対して アドバイスをおこなっております。


外壁の鉄部にできた錆を放置していませんか? 錆は放置しているとどんどん広がっていき、住宅の耐久性が下がる要因になります。錆を発見したら早めに取り除き、錆止め塗装で保護しておきましょう。

本記事では、外壁の錆止め塗装の基礎知識を解説します。本文で詳しく解説しますが、錆止め塗装をする前に必要なケレン作業(錆取り)など、どういった作業を行うのかを知っておきましょう。

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錆は建物の寿命を縮める大きな原因

鉄骨・鉄筋の建物の寿命を延ばすには、防錆が欠かせません。なぜなら、錆は建物の寿命を縮める大きな原因となるからです。

鉄部の錆は、金属の酸化物で、空気中の水分と酸素に触れることで酸化が起こります。錆は金属の腐食で、いわば劣化した状態です。

厳密には、錆は水分が鉄を溶解する「イオン化」によって起こります。いわば、イオン化は鉄が自然に還る現象です。イオン化が進むと鉄は耐久性を維持できなくなります。

鉄部表面の腐食が内部にまで侵食すると、耐久性が著しく低下します。錆が進行すると鉄部が折れたり崩れたりするので、鉄の腐食を放置しておくのは危険です。

錆は放っておいて直ることはないですし、それどころか、いちど錆ができるとそこから侵食していきます。建物の外観に錆が起きると美観も損なわれるので、錆は建物にとって厄介な存在です。

鉄によって支えられている鉄骨・鉄筋の建物の寿命は、錆によって左右されます。言い換えれば、建物の寿命は錆との戦いといえるでしょう。

鉄はいつかは錆びていきますが、可能な限り錆を食い止めて建物の寿命を伸ばすようにしましょう。錆止めは、建物を守るために必要な施工です。

赤錆と黒錆の違い

鉄に発生する錆は、赤錆(あかさび)と黒錆(くろさび)の2種類があります。

赤錆は、赤っぽく見える錆のことで、上述したような、水分と酸素による酸化によって発生します。一般的には、錆と言えば赤錆を思い浮かべる方が多いことでしょう。

黒錆は、赤錆と違って自然に発生することはありません。主成分は酸化鉄で、赤錆を還元することで作られる錆です。

実は、黒錆を人工的に作ることにより、赤錆の発生を抑制する効果があります。鉄瓶や釘などに黒錆を作ることで、錆びないようにするのです。

黒錆自体が錆なので矛盾しているように感じるかもしれませんが、黒錆は悪い錆ではないですし、古くから赤錆防止に使われています。黒錆を人工的に発生させ、赤錆が広がるのを防ぐのが目的です。

赤錆が悪性の錆であるのに対し、黒錆は良性の錆という大きな違いがあります。錆といっても、黒錆のように役立つ錆もあるので、その点も頭に入れておいていただければと思います。

建物の錆を防ぐ方法:錆止め塗料

金属の錆を防ぐには、防錆の処理が必要です。防錆は、錆止め剤や錆止め塗料などを使った方法があります。

錆止め塗料によって防錆ができる仕組みは、大きく分けると2通りです。

1:防錆効果のある物質を使う
2:塗膜で水と酸素を遮断する

防錆効果のある物質は、今だとエポキシ樹脂がよく使われています。防錆力が高く、密着性や耐水性にも優れている素材です。

ただし、エポキシ樹脂は紫外線に弱いので、劣化を防ぐためにポリウレタン塗装やフッ素樹脂で上塗りする必要があります。エポキシ樹脂の効果を長持ちさせるには、上塗りに耐食性や耐候性のある塗料を選ぶといいでしょう。

油性系の錆止め塗料もあります。油性系は厚い膜厚によって優れた防錆性を発揮することから、錆止め塗料に広く使われています。

油性系の塗料は乾燥時間が長いということで需要が落ちていますが、速乾性に優れた錆止め塗料も出ているので、使用する際はその点もチェックしておきましょう。

2番目の仕組みでは、塗料の塗膜によって水と酸素を遮断することで、錆が起こるのを防ぎます。塗膜によって鉄が水と酸素に触れないようにすれば、錆の腐食を防げるというシンプルな仕組みです。

塗膜は撥水効果を与えるだけでなく、紫外線による劣化も防ぐ効果も得られます。紫外線も住宅を劣化させる原因となるので、塗料で防ぐのが望ましいです。

錆止め塗料の使用前に必要なケレン作業

ケレンは錆落としのことです。錆止め塗料を塗布する前に、ケレン作業を行う必要があります。

鉄部に錆が残ったままだと、錆止め塗料を塗布しても錆の進行を抑えられません。鉄部の内部まで錆が侵食しているとケレンでは除去しきれませんが、表面に付着した程度の錆であれば、削れば錆を落とせます。

このケレン作業を入念に行うかどうかで、錆止め塗料の効果が変わってきます。ヤスリなどでしっかり錆を落としておくことが重要です。

いい加減な塗装業者だと、このケレン作業を適当に済ませる恐れがあります。ほとんどの塗装業者は錆止め塗料を塗布する前に、徹底したケレン作業を行いますが、手を抜く業者もあるので注意してください。

ケレン作業を十分に行わないまま錆止め塗料を塗布しても、またすぐに錆による鉄の腐食が起こってきます。そんな状態では、どれだけ高級で質のいい錆止め塗料を使っても無駄になるだけです。

すでに鉄部に錆が付着している場合は、錆止め塗料とケレン作業はセットで行うものと考えておきましょう。

ヤスリや工具でも落とせない錆は、リン酸などの薬品で洗浄する必要があります。リン酸は酸化した鉄と反応することでリン酸塩になる性質があり、表面に付着した錆を落とすと同時に、リン酸塩皮膜によって錆の発生を防ぐ性質を持っています。

リン酸も錆取りに関係するので、こういった薬品もあるということを覚えていただければと思います。

ただし、錆取りが不要の錆止め塗料もあります。直接、錆に塗料を塗布すると錆の進行を食い止められるので、ケレン作業の手間が省けます。

錆の程度によってはケレン作業に多くの時間がかかりますし、場所によってはケレン作業が難しい場合もあります。そうしたケースでは、錆取り不要の錆止め塗料を使うことも選択肢として考えたほうがいいでしょう。

DIYでの錆止め塗料の塗布が難しい理由

錆止め塗料は市販されている製品もありますが、専門業者が使う塗料と比べると、性能が劣ります。一時的に錆を防げても、またすぐに錆が発生するので、何度も塗り直ししなければならなくなるでしょう。

そうなると手間がかかりますし、錆止め塗料を買う費用もかさんできます。素人知識で錆止め塗料を塗布しても、十分な効果を発揮できないでしょう。

上述したように、錆止め塗料の塗布前にケレン作業で錆を落とす必要があります。ごくごく初期の段階であればヤスリで軽く削れば落とせるかもしれませんが、錆が広がっていると簡単な作業では落とせません。

錆が残ったまま錆止め塗料を塗布しても効果が発揮されないため、無駄な作業になってしまう恐れがあります。DIYでケレン作業をしても十分に錆を落としきれないでしょう。

上記の理由から、DIYで錆止め塗料の塗布をするのは難しいといえます。高所をケレンしたり塗料を塗布したりするのは危険が伴うので、DIYでの作業はおすすめしません。足場を組むのにも専門知識がいりますし、専門業者に外注すればそれなりに費用もかかります。

それならば、塗装の専門業者に錆止め塗料の塗布を依頼したほうがいいでしょう。DIYよりも費用はかかりますが、徹底して錆取りをしてもらった上で錆止め塗料で塗れば、長持ちするので結果的に費用が安く済みます。

中途半端にDIYをして何度も錆止め塗料を塗る手間よりも、いちど専門業者に依頼して任せたほうが楽です。安全面を考えても、無理にDIYで外壁塗装をするのはおすすめできません。

錆止め塗装の塗り替え目安は5年

錆止め塗装に塗り替えは、5年が目安です。環境や部位によって塗り替えのサイクルが代わりますが、5年周期での塗り替えを予定しておいてください。

塗膜の剥がれが起こると、鉄が水と酸素に触れて錆が発生してきます。軽度のであれば簡単なケレン作業だけで塗り替えができますが、錆が進行していると諸々の塗り替え作業に時間がかかります。

理想的なのは、錆が発生する前に塗り替えをすることです。5年を目安にメンテナンスを依頼し、塗膜が剥がれ始めているなら早めの塗り替えをおすすめします。

錆が軽微なうちに錆止めをしたほうが費用は安くつく

錆止めの作業には費用がかかりますが、錆が進行して鉄部のダメージが大きくなってから修繕した場合と比べると、費用が安くつきます。鉄の腐食が進んだ状態でケレン作業するのにも費用と手間がかかるので、錆の程度が軽いうちに錆止めをしておきましょう。

錆止めに限らず、住宅の表面を保護する塗料は、住宅を長持ちさせる効果があります。住宅の耐久性を維持するには、塗膜によって雨風や紫外線からのダメージを防ぐことが重要です。

鉄は水や酸素に触れることで錆が発生するので、塗膜で保護してあげなければなりません。鉄はいつか錆びていくものですが、塗装でなるべく錆びないように処置をすれば住宅が長寿命化します。

マイホームを守るために、鉄部の錆止め塗装をすることをぜひ検討してくださいね。

おわりに

錆止め塗装は、ケレン作業=錆取りを徹底することが重要です。下地処理の精度によって、錆止め塗装の効果が大きく変わるということを、ぜひ覚えていただければと思います。

DIYでの錆止めは難しいので、専門業者に任せることをおすすめします。まずは点検を依頼してみてください。

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