モルタル壁は定期的なメンテナンスが必要ですが、どの段階で補修をすればいいのかわからないですよね。早すぎてももったいないですし、遅すぎると修繕費用が高くつくので、できれば適度なタイミングで補修をしたいと考えている方が多いことでしょう。
そこで本記事では、モルタル壁の5つの劣化症状とメンテナンスの方法をご紹介します。5段階の劣化症状からメンテナンスを判断できるように解説していますので、モルタル壁の住宅にお住まいの方はこの機会に外壁の状態チェックをしてみてはいかがでしょう?
目次
モルタル壁の特徴
モルタル壁の劣化症状をチェックする前に、モルタル壁の特徴を知っておきましょう。
モルタルは水とセメントと砂を混ぜて作る素材で、1990年以前の戸建住宅に広く使われていました。現在はサイディングが外壁材の主流となっていますが、モルタル壁の住宅はまだまだたくさんあります。
モルタル壁は、設計の自由度が高く意匠性に優れたデザインの外壁にできる点が大きなメリットです。サイディングは工場で作られたパネルをつないで施工していくため現場での施工においては自由度が低いですが、モルタルは塗って施工するので柔軟な仕上げができます。
また、サイディングはパネル同士のつなぎ目ができてしまいますが、モルタルはつなぎ目のない綺麗な仕上がりにできるのも特徴です。
一方でモルタルの施工には時間がかかる点、職人の技術によって仕上がりに差が生じる点、ひび割れしやすいといったデメリットがあります。
サイディングの完成したパネルをつないでいくため施工が楽にできますが、モルタルは職人が外壁全体に塗っていく作業をするため時間がかかってしまいます。職人の技術が高ければ綺麗に仕上げてくれますが、建築業界全体が職人不足なのでモルタルの施工技術が高い職人を見つけにくいのもデメリットとして見過ごせません。
モルタルは砂とセメントでできているため、乾燥していくと縮んでひび割れが起こりやすくなります。ひび割れはモルタルの宿命と言える劣化症状ですが、弾性のある塗料で補修することでひび割れの発生を抑制できます。
モルタル壁の劣化症状
モルタル壁の劣化症状は5段階あります。
【色あせ】
モルタル壁は紫外線や風雨の影響で色あせていきます。施工時と比べて明らかに退色してきたら劣化症状が進んでいるサインです。
色あせの段階ではそれほど深刻なトラブルは起きませんが、塗料やモルタル壁自体が退色している状態は言わば最初の劣化症状なので油断してはいけません。色あせが現れるということは、次の劣化症状に進みやすくなるということなので、可能であればこの段階でメンテナンスをしておきましょう。
【チョーキング】
モルタル壁の劣化症状の第二段階はチョーキングと呼ばれる現象です。チョーキングは塗装樹脂が劣化して塗料内の樹脂が加水分解され、黒板のチョークの様な白い粉状のようなものができます。
モルタル壁を手で触った時に白い粉状のものがついたらチョーキングが起こっていると考えてください。チョーキング状態を放置するとモルタル壁自体が劣化してしまいます。
チョーキングはモルタル壁の劣化と塗り替え時期のわかりやすいサインですので、たまに外壁に触れて白い粉状のものが表面にできているかチェックしてみてください。
【カビや苔が発生】
日当たりが悪い箇所の外壁はカビや苔が発生することがあります。カビや苔は外壁の見た目を悪くするだけでなく、モルタル壁そのものを劣化させる原因となるので放置は厳禁です。
カビや苔が生えるということは、外壁の防水性能が落ちているサインでもあります。外壁の防水性能が低下すると雨水が染み込み、外壁自体が傷んでしまいかねません。
特に梅雨は湿気で外壁にカビや苔が生えやすくなるため、梅雨から夏にかけては要注意です。カビや苔はわかりやすい劣化症状ですので、モルタル壁が緑色っぽく変色してきたら劣化や防水性能の低下を疑いましょう。
【ひび割れ(クラック)】
チョーキング症状を放置すると、次はひび割れという重大な劣化症状が現れます。ひび割れは少しずつ起こりますし症状が微細な箇所も多いため、気づいた時にはかなり悪化しているかもしれません。
ひび割れが起こるとモルタル壁から水が染み込んで外壁自体が傷んでしまうので注意してください。そこまで症状が進むと外壁を塗り替えるだけでは処置できないため、修繕費が高くなってしまいます。
微細なひび割れであってもそこから広がって大きな割れが起こるかもしれませんし、すでに雨水が内部まで染み込んでいるかもしれません。そうなる前に修繕しておきましょう。
特にモルタル壁はひび割れがしやすいため、微細な割れも見逃さないようにしてください。
【欠損・剥がれ】
剥がれは塗膜が剥がれてしまっている状態、欠損は外壁の一部が欠け落ちてしまっている状態です。欠損は言わば劣化症状の最終段階ですので、放置すると住宅の耐久性自体が著しく低下してしまいかねません。
欠損は寒暖差や衝撃などが主な原因として考えられますが、モルタルの下地材であるラスカット材や鉄筋が錆びて膨張することでも起こります。ひび割れから浸水するとラスカット材や鉄筋が錆びてしまうので、欠損につながるひび割れは要注意です。
一部が欠損しているならまだしも、放置して外壁全体に欠損が波及すると大変です。外壁全体で欠損が起こる修繕費用がかなり高くなってしまうので、欠損は放置しないようにしましょう。
モルタル壁が欠損する原因はいくつかありますが、地震の影響で欠損してしまうこともあります。ひび割れから症状が悪化して欠損が起こったら、すぐに補修してください。
モルタル壁のメンテナンス方法
【カビや苔の落とし方】
モルタル壁はカビや苔が発生している程度の症状であればDIYでメンテナンスができます。
外壁のカビや苔は部分を柔らかいブラシでこすって落としてください。この時、ブラシに食器洗い用の中性洗剤を含まると汚れが落ちやすくなります。
※酸性やアルカリ性の洗剤は非推奨
高圧洗浄機を使って落とす方法もありますが、水圧が強いので外壁の隙間から水が入ってしまう恐れがありますし、大きい音がする機種も多いので、近所に騒音で迷惑をかける恐れもあるのでおすすめしません。
【外壁塗装の塗り替え】
チョーキングが発生している場合は、外壁塗装の塗り替えをしましょう。チョーキングが起こっている、またはカビや苔が発生している状態は防水機能がかなり低下していると考えられるので、塗装の塗り替えが必要です。
モルタル壁の塗り替えの目安は10年ですが、環境によって劣化が早く進行する場合があります。チョーキングが起こっていなくても、明らかに色あせしているのであればその段階で塗り替えを検討した方がよいでしょう。
住宅の補修は症状が悪化する前に先回りすることで結果的に修繕費用を安く抑えられます。特に外壁の塗装は外壁素材だけでなく住宅の自体の耐久性に関わってくるので、劣化症状が現れたら早めに塗り替えをしておくことをおすすめします。
【ひび割れ(クラック)の補修】
0.3mm以下のひび割れ状態を「ヘアークラック」と呼びます。ヘアークラック程度のひび割れなら、外壁塗装の塗り替えで済みます。
ヘアークラックを補修するには弾性塗料が有効です。弾性塗料は伸びる性質があるため、0.3mm以下のひび割れであれば塗料でカバーできます。
0.3mmを超えるひび割れが起こっている場合、弾性塗料では不十分なのでコーキングを充填して補修をします。コーキングは壁材同士の隙間などを埋める(充填する)作業です。
コーキングはDIYでも可能ですが、正しい技術で施工しないと効果が長持ちしません。せっかくコーキングでひび割れを補修しても施工が甘いとまた劣化して補修のサイクルが早くなってしまうので、専門技術のある職人に任せる方が安心です。
【剥がれ・欠損の修繕】
剥がれが起こっている場合、その部分の塗膜を除去して再度モルタルを塗り直します。この時、剥がれた塗膜をしっかり除去しないと、新しい塗膜が古い塗膜ごと剥がれてしまうのでしっかり取り除かなければなりません。
鉄筋の錆びによって欠損が起こっている場合、錆びを除去して防錆材を塗布した上でモルタル壁の補修を行います。
欠損が広範囲に起こっている場合や下地材が腐食している場合は、モルタル壁を捲って下地材を交換しなければなりません。下地材まで交換するとなると工賃も工期も多くかかってしまうため、欠損が広がる前に補修をしておきましょう。
モルタル壁は塗装の塗り替えで耐久性を回復させよう
モルタル壁自体に寿命はありますが、壁の表面を保護する塗装によって耐久性が変わります。塗装が剥がれているとモルタル壁自体の耐久性が低下して寿命が縮まってしまうため、定期的に塗装を塗り直して耐久性を回復しておきましょう。
修繕費用は塗装の塗り替え程度であれば安く済みます。ひび割れや破損まで症状が深刻すると安くない修繕費用がかかるので、深刻な劣化症状が現れる前に外壁塗装の塗り替えを考えてみてください。
おわりに
モルタル壁はひび割れが起こる前の段階でメンテナンスしておくのが一番です。色あせの段階では少し早いかもしれませんが、チョーキングやカビ・苔の発生がみられたら本格的に塗装の塗り替えを検討してみてください。
見た目では劣化していないように見えても症状が悪化し始めている恐れがあるので、専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
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