屋根材は種類が豊富で、それぞれのメリット・デメリットが異なるため選ぶのに迷ってしまうことでしょう。デザインで選んでも構わないのですが、性能や耐久年数、メンテナンスのサイクルなど総合的に比較して選ぶことをおすすします。
本記事では、比較しやすいように屋根材の種類と特徴をまとめました。新築で屋根材を選ぶ方、リフォームで屋根材を葺き替える方はぜひ参考にしてください。
目次
屋根材は種類によって性能や耐久年数が異なる
ひとくちに屋根材といっても種類はさまざまです。屋根材の種類によっては断熱効果があったり、耐火性に優れていたりと性能に違いがあります。また耐久年数にも差があるため、よく比較して選ばなければなりません。
屋根材の種類を大きく分類すると「粘土系」「セメント系」「スレート系」「金属系」の4つになります。詳しい特徴は後ほど解説しますが、4種類の中で最も耐久年数が長いのは和瓦をはじめとする「粘土系」ですが、地震に強いのは「スレート系」や「金属系」です。
このように屋根材は種類によって特徴が異なるため、違いを知った上で選ぶことをおすすめします。屋根は風雨から住宅を守る大事な部位ですし、住環境にも大きく影響するため後悔しないように特徴をよく比較して選びましょう。
屋根材の種類と特徴
粘土系(和瓦、洋瓦)
「粘土瓦」は日本家屋で古くから使われている屋根材で、粘土を瓦の形状にして高温度で焼成して作られたものです。
「粘土系」の屋根材は、大きく分けると「和瓦」と「洋瓦」があります。
和瓦は「釉薬(ゆうやく)瓦」「無釉瓦(いぶし瓦)」の2種類が代表的です。他にも愛知県の「三州瓦」、島根県の「石州瓦」、兵庫県淡路島の「淡路瓦」など地域独自の瓦もあります。
「洋瓦」は洋風にデザインされた瓦のことです。「F形瓦」「S形瓦」「スパニッシュ瓦」などがあります。
アルファベットを冠した瓦に「J形瓦」がありますが、これは和瓦のことです。「J」は「Japanese」の略なので、意味を知っておけば覚えやすいですよね。
【粘土系の特徴(メリット)】
「粘土系」の屋根材の特徴は、耐久性に優れている点です。耐久性は種類や環境によって変わりますが、平均で50年以上、長ければ100年以上持つとも言われています。
瓦屋根は厚みがあるため、断熱・遮熱性、遮音性に優れているのも特徴です。瓦は断熱・遮熱性能によって断熱材が不要とも言われるほどで、夏は涼しく冬は暖かい理想的な温度を保ってくれます。
重量があるため強風や暴風にさらされても落ちにくいのが瓦屋根の良さです。日本は台風の多い国ですので、瓦は日本の気象に合った屋根材と言えます。
メンテナンスの面で言えば、どこか破損しても1枚だけ交換すればいいので修繕費用が安くつくのも瓦の良さです。経年劣化による変色や劣化がほとんどないため、メンテナンスの手間もほとんどかかりません。
※メンテナンスの目安は20〜30年です。
デザインが日本家屋とよくマッチするのも瓦屋根の特徴と言えます。洋瓦があるので洋風住宅でも心配ありません。
【粘土系のデメリット】
「粘土系」は屋根材の中で最も重量があるため、地震の揺れに弱いというデメリットがあります。地震で住宅が揺れると瓦の重さが住宅の負荷になってしまうというのが理由です。
ただ耐震性は屋根材の重さだけでは決まらないので、最近の住宅は屋根の重さも考慮して耐震構造を設計されているため、一概に「粘土系」=地震に弱いというわけではありません。瓦の見た目にこだわり、かつ耐震性も向上させるなら軽量な瓦を選ぶのもひとつの手です。
もうひとつ「粘土系」の重大なデメリットを挙げるならば、瓦を施工できる職人が減っている点でしょうか。瓦職人の高齢化と若手不足が深刻化しているため、確かな技術で施工できる瓦職人が減っているのが現状です。
最近はスレート系を使う住宅が増えているため、日本の古き良き伝統である瓦の文化が廃れつつあります。上述したように瓦屋根は耐久年数が高く、断熱性・遮熱性・遮音性が高いといった性能を持っていますので、今いちど瓦の良さを見直してみてはいかがでしょう。
セメント系(プレスセメント瓦、コンクリート瓦)
「セメント系」は、セメントと砂を主原料とした屋根材です。種類を大別すると「プレスセメント瓦(厚型スレート)」と「コンクリート瓦」の2つになります。
【セメント系の特徴(メリット)】
「セメント系」の屋根材の耐用年数は30〜40年です。セメントは不燃材料であるため耐火性にも優れています。
「セメント系」は塗料で着色をするため色の自由度が高いのも特徴です。遮熱性・遮音性にも優れているので住環境を高める効果もあります。
「セメント系」の屋根材のメンテナンスのサイクルは10~15年なので、その点に関しては可もなく不可もなくといった感じです。屋根材の中では少しサイクルが短い方であると言えるでしょう。
【セメント系のデメリット】
「セメント系」も「粘土系」と同様に重量があるため地震に弱い点がデメリットです。塗装を施すため、風雨によって剥がれや劣化が進むため定期的に塗装を塗り替えなければ点もデメリットであると言えるでしょう。
「セメント系」の屋根材特有のデメリットとしては、水が浸透しやすい性質であるため防水加工をしていないとカビやコケが生えてしまう点です。防水加工も経年劣化で効果が薄れてくるので、防水に関しても定期的なメンテナンスが必要になります。
スレート系(化粧スレート、天然スレート)
「スレート系」は、セメントと繊維材料を組み合わせて作る薄い屋根材です。「化粧スレート」や「天然スレート」などがあります。
【スレート系の特徴(メリット)】
「スレート系」の屋根材の耐久性は20〜25年となっています。軽量な屋根材であるため地震の揺れには強いです。
「化粧スレート」は色やデザインが豊富で、価格も比較的安価であるため広く使われています。「コロニアル」「カラーベスト」といった商品が代表的です。
「天然スレート」は粘板岩の「玄昌石」を使ったスレートで、価格は「化粧スレート」よりも高くなります。少し費用がかかりますが、天然素材ならではの高級感が魅力です。
扱っている業者が多く施工できる業者が多いのも「スレート系」の屋根材のメリットと言えるでしょう。
【スレート系のデメリット】
軽量で薄い屋根材あるため暴風に弱く、積雪などで割れてしまうこともあります。薄い屋根材であるがゆえに断熱・遮熱性が低いのも「スレート系」のデメリットです。
「スレート系」の屋根材は比較的安価で施工できますが、メンテナンスのサイクルが7〜8年と早いため、他の屋根材と比べて塗装の塗替えや修繕の費用がかかります。
金属系(ガルバリウム鋼板、銅板、トタン)
「金属系」の屋根材は、鉄の表面にアルミニウムや亜鉛合金メッキ処理を施した「鋼板」と、アルミやスレンレスなどの「非金属系」があります。
【金属系の特徴(メリット)】
「金属系」の屋根材は、加工しやすく軽量である点がメリットです。施工の柔軟性が高いため特殊な形状の屋根にも合わせられます。
耐久年数は種類によってまちまちで、たとえば「ガルバリウム鋼板」なら15〜30年、「ジンカリウム鋼板」なら40〜50年、「スレンレス」なら50年です。「ガルバリウム鋼板」の場合、塩害地域だと劣化が早いので15年が平均耐久年数になりますが、それ以外の地域なら30年が平均になります。
メンテナンスのサイクルも種類によりけりで、たとえば「ガルバリウム鋼板」は15~20年が目安です。自然石粒仕上げの「ジンカリウム鋼板」なら30年はメンテナンスをしなくても持つといわれています。
「金属系」の屋根材は種類によって性能が異なりますが、不燃材料であるため防火性が高く、軽量であるため地震に強いのが共通する特徴です。
【金属系のデメリット】
「金属系」の屋根材は強い雨が降ると雨音がうるさくなるというデメリットがあります。瓦などの厚さのある屋根材なら雨音はしませんが、薄くて金属製の屋根材はどうしても雨音が発生してしまいます。「金属系」の屋根材は防音性が低いです。
衝撃に弱いため、暴風などで屋根に重い物が当たると凹んでしまったり、場合によっては穴が空いてしまったりするかもしれません。他の屋根材と比べると防錆性が低いため、早いサイクルで塗装の塗替えが必要になります。
性能やメンテナンスのサイクルを考慮して屋根材を選ぼう
ここまで説明したように、屋根材の種類によって性能が異なります。耐久性や断熱性が高い反面、地震に弱かったり、地震に強いけれど断熱性や遮音性が低かったりするので、性能をよく比較して選んでください。
また、メンテナンスのサイクルも屋根材を選ぶ上で重要な要素です。劣化がしやすいとメンテナンスのサイクルが早くなり、リフォームのたびに費用がかかります。
外壁は劣化に気付きやすいですが、屋根は普段見る機会が少ないため劣化に気付きにくいのが難点です。屋根材の剥がれや欠けを放置しておくと下地にまで雨水が染み込み、修繕費用が高くなってしまいます。
耐久性能が優れている屋根材でも暴風などでトラブルが起こることがあるので、10年に一回は点検をした方がよいでしょう。自分で屋根に登るのは危険ですので、無理をせず屋根工事業者に点検を依頼することをおすすめします。
おわりに
メンテナンスフリーとされる屋根材もありますが、どんな屋根材でも定期的なメンテナンスは必要です。屋根材の塗装は風雨によって劣化が起こるので定期的に塗り替えをし、雨漏りが発生しないように剥がれや欠けが起こっていないか屋根工事業者に定期的に点検をしてもらいましょう。
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