クーリングオフという言葉を耳にしたことがないという方は、少ないと思います。
しかし、しっかりと内容を把握しているかと聞かれれば、そうではない方も多くいらっしゃることでしょう。
では、あらためてクーリングオフとは、どのようなものなのかを説明します。
クーリングオフとは、訪問販売などの特定の取引について、一定の条件・期間内であれば消費者が無条件で契約を解除できるという制度です。
インターネットなどで、外壁塗装についての契約トラブルの書き込みや記事を読んだことがある方もいらっしゃると思います。
そんなトラブルが発生しないように防いでくれる、安心して外壁塗装をおこなうための制度といっても過言ではないため、消費者側も正しい知識を知っておくことをおすすめします。
ということで、今回は外壁塗装におけるクーリングオフについての注意点などを紹介していきたいと思います。
今後、外壁塗装を考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
訪問時から契約までにチェックすべきポイント
クーリングオフを正確に把握するためには、特定商取引に関する法律(特定商取引法)について知っておくことが重要になります。
特定商取引法とは、事業者による違法・悪質な行為を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。
ここからは、特定商取引法で訪問時から契約段階までに、事業者に定められている義務や禁止行為を紹介していきます。
契約の勧誘をする場合には「氏名等表示義務」がある
訪問販売で契約の勧誘をする場合は、「氏名等表示義務」が特定商取引法第3条で「訪問販売は、訪問販売をおこなう際、その勧誘に先だって、事業者名、勧誘目的、商品等の種類の明示をしなければならない」と定められています。
簡潔にいいますと、訪問販売をする際は、何よりも先に「私は株式会社○○です。」「この度は、外壁塗装工事の契約を勧めに参りました」と説明しなければならないということです。
電話でアポイントを取り付ける際にも同じで、電話の冒頭で氏名や趣旨などを告げなければなりません。
会社名については、商号を告げなければいけなく、屋号だけを告げることはいけません。
商号とは、法人登記をおこなっている会社そのものの名前のことです。
商号には、法的拘束力がありますが、屋号にはありません。
屋号には、「株式会社」「有限会社」「NPO法人」といったキーワードを入れてはいけないというルールがありますので、これらのキーワードが入っている方が商号だと認識していれば問題ないと思います。
次に、特定商取引法第3条の2である「勧誘を受ける意思の確認、拒否者への勧誘禁止」には、「販売業者は、訪問販売を使用とするときは、その相手方に対して、勧誘を受ける意思があることを確認するように努めなればならない」と定められています。
簡単に説明すると、氏名等の表示義務を終えた後、販売業者は、商品について勧誘をしていいですか?と確認をするように努める義務があるということです。
セールストークにするならば、「これから外壁塗装工事の内容について説明させていただくのですが、今お時間よろしいですか?」といったことです。
これは、明確な承諾の回答を受ける必要があり、相手が拒否を示さなければOKということにはなりません。
拒否された場合の再勧誘は禁止である
特定商取引法の第3条の2第2項では、拒否された場合の再勧誘は禁止されています。
営業側には、「1度断られてから」「断られてナンボ」という考えを持っている方もいるかと思いますが、法律上は訪問販売で断られたら再度勧誘をしてはいけないと定められているのです。
ここでの「拒否」は、消費者の拒否の意思を尊重することが法令の趣旨であるため、消費者が特定の商品や期間など、限定的に拒否した場合は、その範囲が禁止の対象になります。
商談で禁止されていること
セールストークの段階でも再勧誘の禁止の問題は継続されます。
そのため、商談の際に断られたら、それ以上の勧誘は禁止となります。
もちろん、契約を結びたいばかりの虚偽の内容による勧誘も禁止です。
契約書を確実に受け取り、確認を忘れずに
クロージングの段階での義務や規則なのですが、契約書面の交付義務(特定商取引法第4条、第5条)があります。
それは、訪問販売により契約の申し込みを受けたときは、その内容を記した申込書面(第4条)を、契約を締結した際は、契約書面(第5条)の交付が義務づけられています。
これはしっかりと書面で交付する必要があり、PDFなどデータをメール送信といった形式は認められていません。
契約書の主な記載内容としては「販売業者名、担当者名、商品名、型式、数量、商品・役務の種類、販売価格、支払い時期方法、商品の引き渡し時期、クーリングオフについて、契約日、その他」と法令で定められています。
契約書においては正確な記載が必須なので、ここでも屋号のみで商号を記載しない場合は違反になります。
クレジット契約を組む場合は、クレジット契約書の定型契約書に型式や商標、製造者名の欄がないことがありますが、これらがある商品の場合は書かないと違法となります。
特定商取引法の違反には厳しい罰則
特定商取引法に違反した場合、業務改善の指示や業務停止命令・業務禁止命令の行政処分、または罰則の対象になります。
契約書の不備、不実告知が発覚すると、クーリングオフ期間を過ぎていたとしても契約解除の対象となります。
クーリングオフ制度をしっかりと把握しよう
クーリングオフは、法定書面(契約書)の交付を受けてから8日以内が期限なのですが、交付初日から数えるため、交付日+7日で考えましょう。
また、クーリングオフは発信したタイミングで解除効果が発生します。
そのため、業者に到着した際の日にちが8日間を経過していたとしても問題はないので、安心してくださいね。
発信日は非常に重要なので、簡易書留や特定記録、内容証明郵便といった証拠の残る信書便でおこなうことをおすすめします。
法令上は書面の発信、いわゆる信書便(郵便など)と解釈されているため、メールやLINEなどでの連絡は避けましょう。
クレジット契約をしている場合は、クーリングオフ通知をクレジット会社にもおこなう必要があるため、忘れないようにしてくださいね。
外壁塗装でクーリングオフが適用されない場合
消費者自ら請求した場合
消費者自ら請求した場合とは、消費者が自ら契約をする意思を持って業者などを自宅に呼んで契約を結んだ形のことをいいます。
また、ショールームや営業所、店舗などに自ら足を運んで契約した場合も、原則クーリングオフの対象外となるので、覚えておいてくださいね。
外壁塗装業者におけるショールームとは、一般的に営業所と考えられています。
特定商取引法の改正頻度は高い
特定商取引法は、頻繁に改正されており、以前は問題なかったものでも、現在は規制対象となっているものもあります。
過量販売
これは、高齢の姉妹に幾度となく不必要な訪問販売契約をおこなっていたという事件から問題視されたもので、2008年の改正で制定されました。
適合性に反する勧誘
消費者の知識や経験および財産の状況に照らし合わせて、不適当と認められた勧誘をおこなうことを禁止するというものです。
たとえば、年金だけを頼りに生活している高齢者に対して、支払い能力以上の高額な契約をさせてはいけないということです。
また、高齢者契約の自主的な親族確認の問題、判断力の不足に乗じた勧誘も禁止です。
これは、老人やその他の者の判断不足に乗じて、訪問販売の契約を締結させることを禁止するということです。
役立つクーリングオフの豆知識
業種を特定した訪問販売お断りステッカー
よく目にする「訪問販売お断り」のシール、これだけでは何を断っているか特定されていないため「勧誘された=違法」とは言い切れません。
そのため、寝具関係、新聞、水道関係、リフォーム関係お断りなど、業種をある程度特定したシールであれば、法的に有効となるためおすすめです。
まとめ
外壁塗装は、決して安い買い物ではないことから、不安や悩みを抱く消費者は少なくありません。
そのため、外壁塗装におけるクーリングオフや特定商取引法を把握しておくことは、安心して工事を進めることができる要因になります。
しかし、クーリングオフは適用される条件の判断が難しい場合も少なくないため、不安な点が少しでもあれば地域の消費者センターや専門家に相談するようにしましょう。
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