ガルバリウム鋼板は屋根材や外壁材としてよく使われている人気の素材です。でもどういった特徴を持っている素材なのか、新築やリフォーム素材として使うとどんなメリットがあるのか、いまいち分からない部分も多いですよね。
そこで本記事では、ガルバリウム鋼板を外壁・屋根に使うメリット・デメリットとメンテナンス方法を詳しく解説します。新築やリフォームの素材選びで後悔しないために、素材の特徴をぜひ知っておいてくださいね。
目次
ガルバリウム鋼板とは?
ガルバリウム鋼板は、アメリカの製鉄会社・ベスレヘム・スチール社(1857〜2003年)が開発したアルミ亜鉛合金めっき鋼板です。JIS(日本工業規格)では「溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板」と規定されています。
※ベスレヘム・スチール社は2003年にインターナショナル・スチール・グループに売却。
略称は「ガリバリウム」、または「ガルバ」です。ガルバという人名もありますが、建築関係ではガルバ=ガルバリウム鋼板を指すと認識しておいて問題ないでしょう。
ガルバリウム鋼板は、鋼板の表面をアルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%の割合でメッキコーディングすることにより、耐久性を高めた素材です。耐久性については後ほど詳しく解説しますが、屋根材や外壁材として国内外で広く普及しています。
ガルバリウム鋼板のメリット
1:優れた耐久性・耐食性
ガルバリウム鋼板の最大のメリットと言えるのが、優れた耐久性・耐食性です。先ほど少しお話ししましたが、ガルバリウム鋼板は鋼板の表面をアルミニウム、亜鉛、シリコンでメッキコーディングしており、これによって耐久性・耐食性が向上しています。
ガルバリウム鋼板が耐久性・耐食性に優れているのは、アルミニウムの長期耐久性と亜鉛鉄板の犠牲防食作用(鉄の腐食を防ぐ作用)のおかげです。この2つの素材の特性が合わさることでより錆びにくくなり、長持ちします。
環境やメンテナンス状況にもよりますが、ガルバリウム鋼板の耐用年数は20~30年です。トタン板と比べると3〜6倍も耐久性が高く、長寿命の金属素材であるため屋根材や外壁材に向いています。
耐食性に関して言えば、ガルバリウム鋼板は酸性雨や酸性雪に強いため腐食しにくく、特に海岸地域などの屋根材や外壁材が腐食しやすい環境下でその特性を発揮するでしょう。
2:熱反射性
ガルバリウム鋼板は熱反射性に優れた金属素材でもあります。熱反射というのは、熱(太陽光による熱)を反射する性質のことです。
太陽光の熱は屋根や外壁を伝って室内に侵入してきますので、熱反射性の低い屋根材や外壁材だと夏はどんどん室温が上がっていきます。設定温度を下げると電気代が上がってしまいますし、廊下やトイレなど冷房が効いていない場所は暑さが余計に辛く感じることでしょう。
熱反射性に優れたガルバリウム鋼板を屋根材や外壁材に使うと、太陽光の熱を反射して室温の上昇を防いでくれます。冷房の設定温度を低くしなくてもよいので夏でも快適に過ごせますし、節電効果が得られるのもガルバリウム鋼板を使うメリットです。
室温は快適に暮らすための大事な条件となりますので、ガルバリウム鋼板のような住宅の遮熱性能を上げてくれる素材を使うことを考えてみてください。
3:耐用年数が長い(長寿命)
ガルバリウム鋼板の耐用年数は20〜30年です。トタンの耐用年数が10年くらいですので、倍以上長持ちします。
屋根は風雨にさらされるので劣化がしやすく、塩害地域など屋根に負担となる環境下では特に傷みやすいです。屋根は外からは見えにくいため劣化に気づきにく、屋根下地が傷んだり雨漏りが発生したりすると修繕費が高くついてしまいます。
ガルバリウム鋼板はもともとの耐用年数が長いので長持ちしますし、定期的にメンテナンスをすれば長く使えるでしょう。10年で屋根材を葺き替えるのと、20年、30年で葺き替えるのとではリフォーム費用に大きな差が生じます。
劣化に気づきにくい屋根材にこそ、ガルバリウム鋼板のような耐用年数の長い素材を使うと安心です。劣化をしないわけではないのでその点には注意してくださいね。
4:軽量で耐震性に優れている
ガルバリウム鋼板は軽量な素材です。屋根材の重量と耐震性は大きく関係していて、ガルバリウム鋼板は軽量であるため地震の揺れで住宅に負担をかけにくいというメリットがあります。
重い屋根材ほど地震の揺れが大きくなり、軽い屋根材ほど揺れが小さくなるのが一般的です。地震の揺れは住宅の構造や立地にもよるので一概には言えませんが、屋根材の重量は住宅に影響します。
1981年の建築基準法の改正で屋根の重量を考慮した構造計算することが義務付けられていますし、瓦屋根も従来よりも強固に接続するようになったため基本的な耐震性は高まっていますが、やはり屋根材の重量による地震の揺れの影響は少なくありません。
ガルバリウム鋼板のような軽量な素材は地震の揺れによる住宅への負担が少ないため、ひとつの耐震対策になります。従来の日本家屋では瓦屋根を使うことが多かったですが、最近はガルバリウム鋼板の日本家屋も増えているため、耐震リフォームの際に軽量な屋根材を葺き替えることも考えてみてください。
5:デザイン性が高い
ガルバリウム鋼板は見た目の美しさでも人気がある素材です。もともとの素材としてのデザイン性が高く、カラーバリエーションも豊富にあるのでオシャレな住宅づくりに向いています。
ガルバリウム鋼板は耐久性や熱反射性といった機能的な面を持ちながら、デザイン性も併せ持つ優れた素材です。屋根材に使っても外壁材として使っても素材美が発揮され、住宅のデザイン性をワンランク上に押し上げてくれることでしょう。
瓦のようなデザインのガルバリウム鋼板もあるので日本家屋にも使えますし、デザインの自由度が高いので好みに合わせて設計しやすいです。デザインにこだわった住宅づくりをしたい方、デザイン重視のリフォームをしたい方はガルバリウム鋼板を検討してみてはいかがでしょう。
ガルバリウム鋼板のデメリット
1:錆びないわけではない
ガルバリウム鋼板は耐久性・耐食性に優れているものの、錆びないわけではありません。瓦は金属ではないので錆びませんが、ガルバリウム鋼板のベースは金属なので風雨や塩害の影響で錆びることがあります。
ガルバリウム鋼板は錆びないのではなく、金属の中では錆びにくいというが正しい表現です。錆びたままにしておくと錆びや腐食が進行し、場合によっては葺き替えなければならなくなります。
ガルバリウム鋼板の錆びを防ぐには定期的なメンテナンスが必要です。他の屋根材もそうですが、メンテナンスをしないと下地まで傷んで最悪の場合は雨漏りが起こります。
ガルバリウム鋼板が錆びにくいからといって手入れを怠るのではなく、より長持ちさせるためにしっかりメンテナンスすることを心がけましょう。
2:遮音性が低い
ガルバリウム鋼板は薄い金属であるため、遮音性は期待できません。トタンなどの他の遮音性の低い素材と同様に、ガルバリウム鋼板も遮音性の面が欠点として挙げられます。
ガルバリウム鋼板のデメリットとしてよく言われるのが、雨音がうるさいという点です。これもガルバリウム鋼板が薄い金属であるがゆえに起こることで、激しい雨が降ると雨音が大きくなることがあります。
もともと遮音性能を備えているわけではないので、防音効果を高めるなら別に防音材を施工する必要があります。ガルバリウム鋼板は耐久性・耐食性、遮熱性という優れた機能があるので、遮音性の低さを差し引いても優秀な素材であることは変わりません。
3:デリケートな素材
ガルバリウム鋼板は硬さを感じさせる名称とは裏腹に、扱いが難しいデリケートな素材です。耐久性には優れているものの、メンテナンスをしなければ劣化が早く進行してしまいます。
ガルバリウム鋼板を正しく施工し、適切にメンテナンスを行うには技術がいるため、業者選びが非常に重要です。技術の低い業者やいい加減な業者だとメンテナンスになるどころか、無駄な費用を払うことになります。
正しくメンテナンスをすれば長持ちしますので、確かな技術力のある信頼できる業者にメンテナンスを依頼しましょう。
ガルバリウム鋼板の日常のメンテナンス方法
ガルバリウム鋼板は耐久性に優れていますが、メンテナンスフリーではありません。ここがよく勘違いされる点なのですが、メンテナンスが不要というわけではないので、他の屋根材や外壁材と同様に定期的なメンテナンスは必要となります。
メンテナンス不要を謳う業者もいますが、そもそもメンテナンスフリーの屋根材や外壁材は存在しないので注意してください
ではここからガルバリウム鋼板の日常のメンテナンス方法を解説します。
ガルバリウム鋼板を劣化させる原因は、表面に付着した酸や塩分です。それらの成分を付着したままにしておくと錆びやすくなります。付着した酸や塩分雨では洗い流されないため、錆を防ぐには水で洗い流してください。
外壁であれば比較的簡単に水で洗い流せますが、屋根を洗浄するのは難しいかと思います。屋根に昇って洗浄するのは危険が伴いますので、無理をせずに業者に任せた方が安心です。
ガルバリウム鋼板の屋根や外壁の汚れを洗い流す際は、高圧洗浄は使わないようにしてください。洗浄はホースで洗い流す程度でかまいません。
おわりに
ガルバリウム鋼板は耐久性や遮熱性が高く、かつデザイン性も持ち合わせている優れた金属素材です。メンテナンスは必要ですが、錆びにくいので長持ちします。
ガルバリウム鋼板はデリケートな素材ですので、技術力が確かな優良な業者に依頼してくださいね。
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