軒天と言われてもどこかもわからない?家にとっての重要性を知ろう

この記事の監修者

佐伯 明彦 (株式会社ソラ SOLA)

所有資格外壁診断士

外壁施工において構造性能や耐火耐久性能など外壁塗装をお考えの方に対して アドバイスをおこなっております。


雨の日に玄関から外に出ても雨に濡れない。
窓から雨水の吹込みがない。

このように生活の中で当たり前すぎることですが、文章として書かれないと意識できなかったと思います。
これらは、屋根の軒と呼ばれる部分の長さがあるおかげなのです。

その屋根の裏側を守りキレイに仕上げている部分を軒天(のきてん)と呼ぶのですが、意識をして見たことがある人の方が少ないのではないでしょうか。

軒天と聞いてもパッとどの部分かわからない人は多いと思います。
そんな軒天は、当たり前に天井にあり、外壁塗装のときには同時に塗り替え、剥がれてしまっていたとしても、そこまで問題ないだろうくらいにしか思われていないことでしょう。

しかし、じつは軒天は快適な暮らしを維持するのに大きな役割を担っているのです。
そこでこの記事では、軒天が快適な暮らしを維持するのにどう役立っているのかなど、家における軒天の重要性を紹介していきたいと思います。

この機会に少しでも軒天について知ってみてください。
それでは、いっしょに見ていきましょう。

軒天(のきてん)ってなに?

まずは軒天について知っていきましょう。
軒天は、軒天井(のきてんじょう)や軒裏天井(のきうらてんじょう)とも言われるどの家にもあるものなのですが、どこの部分のことなのかわからない人もいらっしゃると思います。

軒天とは、付帯部と呼ばれる家の付属物にあたるものなのですが、家を見上げたときに外壁から屋根が外側に突き出している様子が見えると思います。

その屋根部分の裏のことを軒天と言います。
屋根の端を軒先(のきさき)と言うのですが、その軒の裏部分の天井を指し、バルコニーやベランダの裏側も軒天と言います。

付帯部は外壁塗装といっしょに塗り直すことが多いので、軒天も外壁塗装の機会に塗り直すことが多いです。

軒天の役割とは?

●美観性の向上
屋根の裏側に軒天を張ることで屋根の構造部分を隠すことになり、見た目をスッキリとさせることができます。
木材をふんだんに取り入れている和風住宅の中には軒天を張り付けたあとに化粧垂木を取り付けて、意匠性を高めていることもあります。

●雨水や日差しによる外壁の劣化を防ぐ
軒天、つまり軒の出が長いと雨水や太陽光といった外的要因から外壁材を守ることに繋がります。
軒天のない家は、とてもスタイリッシュでかっこいいのですが、外的要因が外壁に直撃するため劣化や汚れが促進しやすいです。

●延焼防止
隣家で火災が起きたり、もしも自宅が火事になったときに軒天がなければ火がたちまち屋根裏までまわってしまい焼け落ちてしまいます。

そのため、軒天は不燃材が使用されており、住宅の被害を最小限に抑える役割を担っています。
古い民家は、軒天に耐火性や耐水性に不安が残る素材を使用していることがあるため確認しておくことをおすすめします。

●屋根裏の換気
家によって違いがあるのですが、穴が開いている軒天材を使用している場合があります。
これは屋根裏に湿気が溜まらないように排出させるための換気口の役割をしており、内部結露の発生を防ぎます。

このように軒天には、さまざまな役割があることを知っていただけたと思います。
家の外観だけでなく、性能もしっかりとカバーする重要な部位なのです。

そんな軒天は、家によって素材に違いがあります。
ここからは軒天の素材の特徴を紹介していきますので、見ていきましょう。

軒天の素材の種類

●木材系(カラーベニヤ・化粧合板)
新築で使用されることは滅多にありません。
安価で軒天の補修をおこないたいという人におすすめです。

雨水が頻繁に当たる場所ではないのですが、経年劣化によって接着力が弱まって剥がれてしまうおそれがあります。
そのため、張り替えや増長補修が必要になります。

●不燃材(ケイカル板・エクセルボード・フレキシブルボード)
現在、新築・リフォームともに多く使用されています。
性能とコストのバランスがとても良い軒天材です。

ケイカル板は、耐火性と防湿性が高いのですが吸水性も高いため、必ず塗装で塗膜保護すべきです。
フレキシブルボードは強度に優れているのですが、ケイカル板の2倍の重さがあるため、あらかじめ下地の強度を確認しておく必要があります。

●金属系(ガルバリウム鋼板・アルミスパン)
屋根や外壁材としても普及率が高い金属系。
軽量で木目調がプリントされている鋼板もあります。

不燃材より高い耐火性がある分、価格が高くなってしまうため、そこまで多く見かけることはありませんが、軒天材として今後普及されていく期待大です。

ガルバリウム鋼板もアルミスパンもサビにくい素材なので、塗装回数を少なくすることは可能ですが、サビが発生してしまうと耐久性も見た目も悪くなってしまいます。

15~20年に1度の頻度でサビ止め塗装と仕上げ塗装でメンテナンスすることをおすすめします。

まとめ

今まで全く意識することのなかった軒天に少しでも興味を持つことができたでしょうか。
あまり目立つ部分ではありませんが、家にとってとても重要な役割を担っています。

そのため、しっかりと定期的にメンテナンスをして快適な暮らしを守る役割を果たさせてあげてくださいね。

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