費用まですべて大公開!屋根の葺き替えってどんなの?

この記事の監修者

佐伯 明彦 (株式会社ソラ SOLA)

所有資格外壁診断士

外壁施工において構造性能や耐火耐久性能など外壁塗装をお考えの方に対して アドバイスをおこなっております。


屋根の葺き替え。
あまり見慣れない字面ですよね?

一体どういったことをするのかわかりますでしょうか。
「葺き替え(ふきかえ)」とは、屋根材をすべて交換する工事のことです。

葺き替えは、屋根の修繕工事のなかで1番大掛かりなので、費用もとてもかかります。

そんな葺き替え工事のことを具体的に知りたい。
屋根の工事を検討しているが、葺き替えがベストなのか知りたい。

といった方の役に立つ記事になると思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

屋根の葺き替え工事ってどんなもの?

屋根の葺き替えとは、屋根の修理工事なのかな?くらいに思う方は多いでしょう。
では、どういった修理工事なのかと言いますと、屋根材のすべてを新しく交換する工事のことです。

葺き替えが適応される状態は、屋根材全体の経年劣化、屋根材が広範囲に及び破損している、屋根材と下地も傷んでいる場合が主になります。

葺き替えは、和瓦だけではなく、スレート屋根や金属屋根の交換工事も指します。

葺き替え工事の期間と費用相場

一般的な30坪くらいの住宅の場合、屋根の葺き替え工事の費用相場は、約120~200万円です。
葺き替えは、屋根の工事のなかで最も高額な作業になります。

工事にかかる期間も1番長くて、足場の設置、既存の屋根材の撤去、新しい下地と屋根材の敷設などを含めて、約7~15日必要です。

新しい屋根材を搬入するので、十分なスペースが必要となる大規模な工事です。

屋根の葺き替え工事がベストなケースとは?

葺き替えは、規模も費用も大きくなるので、他の工事で事足りるのならば、そちらで済ませたいと考えるのが当たり前です。

工事単価が上がるため、不必要であるにも関わらず葺き替え工事を進めてくる業者も、残念ながらいます。

では、どう判断すればいいのか?
これから説明していきますので、いっしょに見ていきましょう。

屋根の葺き替え工事が必要なケース

葺き替え工事が最適な場合とは、「瓦を含む全体が損傷している場合」と「下地だけ劣化しているが、屋根材が金属かスレートの場合」の2つになります。

部分的に損傷している場合は、「部分修理」、和瓦・洋瓦屋根で下地だけが劣化しているのなら「葺き直し」という方法で対応できます。

葺き替えとカバー工法

カバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根を重ねて建てる工事です。
葺き替えかカバー工法かの選択基準は、主に予算です。

葺き替えがベストな状態でも、予算によっては安価で済むカバー工法が採用されることもあります。

妥当性と信頼性を業者からの説明で判断しよう

どのような工法をとるのかの判断も、業者がきちんと原因説明をしてくれることが前提です。

欠損箇所を写真で説明してくれることが、良い業者か悪い業者の簡単な判断基準だと思います。
原因や見積もりなど何かしら説明が不十分と少しでも感じたら、他の業者からも見積もりをとって判断してみるなど対策をすることをおすすめします。

屋根の葺き替え工事費用の相場

「屋根の面積」と「屋根材の選択」の2つが、屋根の葺き替え工事にかかる費用と大きく関係してきます。

その他には、屋根の形状や既存の屋根の種類などで単価や合計費用は変わります。

既存の屋根にアスベストが含まれている場合、法令によって特別な撤去方法が必要になるため、別で約60万円~200万円くらいの高額な費用がかかります。

足場の敷設、周囲の養生

ここからは、現在最もポピュラーな化粧スレート屋根から、同じくスレート屋根に吹き替える場合の費用について説明します。

まず高所作業用の足場を設置して、その周りに飛散防止用の養生シートをかけます。

足場は700円~800円/㎡で養生は200円/㎡前後が目安と言われています。

すでにある屋根材の撤去・処分

次に、既存の屋根材を撤去します。

既存の屋根にアスベストが含まれていない場合は、撤去・処分込みで1,200円~2,000円/㎡が目安です。

もしもアスベストが含まれている場合は、上記で説明させていただきましたように、別途高額な費用がかかってしまいます。

下地(野地板)の撤去・新設

屋根材を撤去した既存の野地板の上に、下地の合板を重ねて貼ります。
野地板そのものを新設するケースもあります。

費用は、材料と施工費で、2,000円/㎡前後と言われています。

野地板の補強は省くことができる場合もありますが、野地板の劣化は屋根瓦よりも早く進むので、屋根材を新設する際に同時に工事しておくことをおすすめします。

防水シート

下地(野地板)の上に防水シートを設置します。
費用としては材料費と施工費を合わせて、650円/㎡くらいです。

屋根の葺き替え工事では、下地の補強を省略するケースでも、防水シートの施工は必ず行います。

新しい屋根材の設置

新しい屋根材を防水シートの上に葺きます。
多くはスレートで葺き直すか、それよりも軽量で耐久性の高いガルバリウム鋼板に葺き替えます。

スレートからスレートに交換する場合の費用は、約4,500円~6,000円/㎡、ガルバリウム鋼板に交換する場合で、約6,000円/㎡と言われます。

葺き替え工事で、既存の屋根が瓦屋根であるパターン以外は、瓦材はほぼ使用しません。
瓦はスレートやガルバリウム鋼板に比べると非常に重く、7~10倍の重さが住宅の負担になってしまうため、住宅が重さに耐えられなくなる可能性があり、耐震性も低下してしまうのです。

棟板金・軒先・ケラバ板金等

葺き替え工事は、最後に棟や軒先、ケラバなどの納まり上、板金の加工が必要になります。

板金の長さによって費用が決まり、棟板金が2,000円~3,000円/m、軒先・ケラバ板金の場合は1,500円~2,000円/mが目安と言われています。

特徴解説・新しい屋根はどれがいい?

屋根の葺き替え工事は、屋根材をこれまでのものから変更することが可能です。

スレート屋根に変更すると

スレート屋根は、もっとも価格が安いという特徴があります。
耐震性に高さに関わる軽さでは、金属屋根に一歩譲り、耐用年数も10年ほど短くなります。

ガルバリウム鋼板に変更すると

ガルバリウム鋼板は、耐用年数が長いという特徴があります。
また、とても軽いために耐震性の向上にもっとも貢献します。

高性能なかわりに、スレート屋根よりも㎡あたりが500~1,500円ほど高くなります。
デメリットとしては、ガルバリウム鋼板に交換すると、雨音がこれまでより大きくなる可能性があります。

和瓦に変更すると

和瓦は、既存の屋根が和瓦であるケース以外は、葺き替えることをおすすめしません。

なぜなら、和瓦の重さがスレートやガルバリウム鋼板に比べるとはるかに重いので、住宅が重さに耐えられなくなったり、耐震性も大きく低下させることに繋がります。

和瓦は、屋根材の中で最も高価なものですが、耐用年数は非常に長く50年以上と言われています。

屋根の葺き替え工事を抑えるには相見積もりで検討しよう

屋根の葺き替えは、大規模で非常に高額な工事になります。

屋根は、同じ坪数の家でも、屋根の形状や傾きによって面積が変わってきますので、家の大きさで工事費用のおおよそを判断できず、予想も難しくなってきます。

そのため、3社くらい候補を絞り相見積もりをとって、工事内容や費用を比較して検討することをおすすめします。

できるだけコストは抑えることができ、葺き替え以外の工事で済むパターンもあるかもしれないため、じっくり検討してみるようにしてくださいね。

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